
いよいよ平成31年/令和元年分の確定申告期間がスタートしました。
早速、税務署に足を運んで確定申告を済ませた配信者の方もいるようですね。
今回も平成31年/令和元年分からの色々な変更点があります。
その中でも多くの人に直接関わってくる部分で注目すべきは国税通則法第74条の改正です。
税務署から事業者等への情報照会の仕組みを再整備したものですが、
その中身は配信者の脱税問題にも大きく影響する変更になっています。
配信者の脱税を問題視している人にとっては朗報で、配信者への税務調査や追徴課税の件数が一気に増えるはずです。

令和元年分の確定申告から適用される主な変更点
国税通達法第74条の改正点のポイントは次の2点です。
- 事業者等への協力要請
- 事業者等への報告の求め
例えば、Aさんという配信者が脱税をしていたとして、
その情報は税務署にも入ってきているとしましょう。
額やケースにもよりますがこれまでの税務署であれば、
本人へのお尋ねのほか、質問調査権を行使して相手側から脱税の証拠を掴んでいました。
具体的には、支払っている側を調査する反面調査や、銀行口座からお金の流れを掴む銀行調査などです。

ただ、銀行口座を調査するにせよ払った側の事業者を調査するにせよ、
これまでは外堀から埋めていってる以上は多少なりの時間や手間、手続きが必要でした。
それをスムーズに行えるように改正したのが、国税通則法第74条の改正です。
事業所等への協力要請
税務署は事業者に対し、国税に関して参考になる資料の閲覧や提供を求めることができるようになりました。
また、事業者に協力を求めることができることも明文化されています。
銀行調査や反面調査などの回りくどい手段を使わなくても、単刀直入に「Aさんへの支払いを見せて!」と事業者側に言うことができるようになったということです。

これがどれほど大きなことかは、なんとなく皆さんも分かりますよね。
税務署に脱税の情報提供が入り、税務署がターゲットに狙ったとすれば、
事業者側に「Aさんへの支払いを教えて」と言うだけで完了です。
銀行への調査も、事業者側への税務調査も必要なし!
いとも簡単に、ダイレクトに、ターゲットへの支払い状況(収入)が分かります。
事業者等への報告の求め
上に記した協力要請はあくまで要請なので「任意」です。
事業者側が要請に応じない(=断る)場合もあるわけですが、
その場合は所轄国税局長が事業者に特定取引者の氏名等の情報を求めることができます。
一方で、報告を求めるか否かはケースバイケースであり、
収拾できる情報についても限定的なものに限られていることもお話しておきます。
事務負担への配慮やプライバシー等の難しい問題もあるので、
権力を以って何でもかんでも開示させられるというものではありません。
逆を言えば、必要なケースであり、必要な情報であれば、開示される可能性が高いということですね。

【結論】脱税の情報提供はますます有効に!
税務署はこれまでのように相手側から回りくどく攻めなくても、
事業者に対してダイレクトに対象者への支払いを尋ねることができるようになりました。
これまでは「情報は入ってるけどいざ調べるとなると手間がかかるな…」ということでも、
今後は簡単に支払い状況が聞き出せるので税務署のフットワークも軽くなるはずです。
つまりは、情報提供にもより耳を傾けてもらえるということ。
配信者の脱税の情報提供を積極的に支援するわけではないですが、脱税は犯罪です。
明るい未来のために適切な納税を。